仕訳CSVのインポート形式を比較:freee・マネーフォワード・弥生|税区分と経過措置の書き方
Ledgerly編集部公開日 更新日
仕訳CSVのインポート形式を比較:freee・マネーフォワード・弥生
請求書OCRや販売管理システム、Excelで作った仕訳を会計ソフトに取り込むとき、多くの場合はCSVファイルを使います。ところが、いざ取り込もうとすると「勘定科目が見つかりません」「貸借が一致しません」といったエラーが出たり、取り込めたのに消費税の金額がおかしかったりすることがあります。
こうしたトラブルの多くは、会計ソフトごとに異なるCSVの形式を知らないことが原因です。この記事では、freee会計・マネーフォワード クラウド会計・弥生会計の3つについて、仕訳CSVの形式の違いを、列構成、税区分、インボイス制度の経過措置の書き方まで比較します。
2026年9月時点で各社のヘルプページに掲載されている仕様をもとにまとめています。仕様は変更されることがあるため、本番の取り込みの前に、必ず数件でテスト取り込みを行ってください。
そもそも連携方法は2種類
外部で作った仕訳を会計ソフトに入れる方法は、大きく2つあります。
- CSVインポート:会計ソフトが指定する形式のCSVファイルを作り、画面から取り込む方法です。ほとんどの会計ソフトが対応しており、追加費用もかかりません。
- API連携:外部のサービスから会計ソフトへ、仕訳データを直接送る方法です。取り込み作業は不要になりますが、対応しているサービスやプランが限られます。
中小企業や個人事業主では、まずCSVインポートで運用するのが現実的です。以下では、CSVインポートの形式を比較します。
3つの会計ソフトの比較表
| 項目 | freee会計 | マネーフォワード クラウド会計 | 弥生会計 |
|---|---|---|---|
| 取り込み機能 | 仕訳のインポート(振替伝票) | 仕訳帳のインポート | 仕訳データのインポート(弥生インポート形式) |
| 見出し行 | あり([表題行]) | あり | なし |
| 列の構成 | 各行の先頭に[明細行] | 27列(A〜AA列) | 25列 |
| 複合仕訳のまとめ方 | 同じ「伝票番号」の行を1つの仕訳に | 同じ「取引No」と取引日の行を1つの仕訳に | 「識別フラグ」で1行目・中間・最終行を指定 |
| 日付の形式 | yyyy/MM/ddなど | yyyy/MM/dd | yyyy/MM/dd、yyyyMMdd、和暦など5種類 |
| 消費税額 | 税区分から自動計算する設定が可能 | 「0」または空欄(自動計算) | 税金額の列に記載 |
| 経過措置の表し方 | 専用の税区分(例:課対仕入(控70)10%) | 税区分+「インボイス」列(例:70%控除) | 税区分と控除割合を組み合わせた名称 |
| 文字コード | Shift-JIS版・UTF-8版のテンプレートあり | テンプレートに合わせる | Shift_JIS(弥生会計のエクスポート形式と同じ) |
ここからは、ソフトごとに詳しく見ていきます。
freee会計:振替伝票形式の仕訳インポート
freee会計では、「仕訳のインポート」機能で振替伝票の形式のCSVを取り込めます。
ファイルの構成
- 1行目は見出しの行で、先頭の列に
[表題行]と書きます。 - 2行目以降の仕訳データは、すべての行の先頭を
[明細行]にします。[明細行]と書かれた行だけが取り込まれます。 - 「伝票番号」が同じ行は、1つの仕訳(複合仕訳)として取り込まれます。
- freeeのヘルプから、Shift-JIS版とUTF-8版のテンプレートをダウンロードできます。まずはテンプレートに合わせて作るのが確実です。
消費税と税区分
借方・貸方それぞれに「税区分」の列があり、課対仕入10%、課対仕入8%(軽)、対象外などのfreeeの税区分名を書きます。インポートの際に、金額を税込として扱い、税区分から消費税額を自動計算させる設定を選べるため、仕訳の金額は税込で1行にまとめるのが基本です。
インボイスのない取引先からの仕入れ(経過措置)には、課対仕入(控80)10%や課対仕入(控70)10%のような専用の税区分を使います。かっこは全角です。経過措置用の税区分を使うには、事業所の設定でインボイス制度の経過措置に対応する機能を有効にしておく必要があります。
なお、freeeには経費や売上を「取引」として取り込む「取引のインポート」もあります。支払状況(未決済・決済済み)まで管理したい場合はこちらを使う方法もあります。
マネーフォワード クラウド会計:仕訳帳インポート
マネーフォワード クラウド会計では、「仕訳帳」のインポート機能でCSVを取り込みます。
ファイルの構成
- 列は全部で27列(A〜AA列)です。主な列は、取引No、取引日、借方の勘定科目・補助科目・部門・取引先・税区分・インボイス・金額・税額、貸方の同じ項目、摘要、仕訳メモ、タグ、MF仕訳タイプ、決算整理仕訳などです。
- 必須の項目は「取引日」「勘定科目」「金額」です。取引日は
yyyy/MM/ddの形式で書きます。 - 「取引No」「取引日」が同じで、借方と貸方の合計が一致する行は、1つの複合仕訳として取り込まれます。
- 摘要は200文字まで入力できます。
消費税と税区分
税区分には、マネーフォワードの「税区分」画面に表示される正式名称または省略名を書きます。税額の列は「0」と入力するか空欄にし、消費税額はマネーフォワード側で計算させます。
経過措置は「インボイス」列で指定する
マネーフォワードでは、経過措置を税区分ではなく、「借方インボイス」「貸方インボイス」の列で指定します。入力できる値は、取引日に応じて次のとおりです。
| 値 | 使える取引日 |
|---|---|
| 適格 | — |
| 80%控除 | 2023年10月1日以降 |
| 70%控除 | 2026年10月1日以降 |
| 50%控除 | 2028年10月1日以降 |
| 30%控除 | 2030年10月1日以降 |
| 控除なし | 2031年10月1日以降 |
注意したいのは、インボイス列を空欄にした場合です。空欄の行は「適格」として扱われるため、本来は70%しか控除できない仕入れが100%控除になってしまいます。経過措置の対象になる行には、必ず控除割合を書きましょう。
弥生会計:弥生インポート形式
弥生会計(デスクトップ版)では、「弥生インポート形式」のファイルで仕訳を取り込みます。
ファイルの構成
25列で、次の順番に並べます。
- 識別フラグ 2. 伝票No. 3. 決算 4. 取引日付 5. 借方勘定科目 6. 借方補助科目 7. 借方部門 8. 借方税区分 9. 借方金額 10. 借方税金額 11. 貸方勘定科目 12. 貸方補助科目 13. 貸方部門 14. 貸方税区分 15. 貸方金額 16. 貸方税金額 17. 摘要 18. 番号 19. 期日 20. タイプ 21. 生成元 22. 仕訳メモ 23. 付箋1 24. 付箋2 25. 調整
見出しの行は付けず、1行目から仕訳データを書きます。
識別フラグで伝票のまとまりを示す
弥生インポート形式の大きな特徴が、1列目の「識別フラグ」です。この値で、どの行が1つの伝票にまとまるかを指定します。
| 識別フラグ | 意味 |
|---|---|
| 2111 | 1行だけの伝票 |
| 2110 | 複数行の伝票の1行目 |
| 2100 | 複数行の伝票の中間の行 |
| 2101 | 複数行の伝票の最終行 |
| 2000 | 伝票以外の仕訳 |
例えば、源泉徴収のある請求書のように借方1行・貸方2行になる仕訳は、「2110」「2101」の2行で1つの伝票になります。
日付と摘要
取引日付は、yyyy/MM/dd、yyyyMMdd、yyyy/M/dのほか、和暦(Ryy/MM/dd、Ryy/M/d)の5種類の形式に対応しています。摘要は長すぎると切り捨てられるため、取引先名を先頭に、短くまとめるのがおすすめです。
消費税と税区分
税区分には、弥生会計の税区分一覧にある名称を書きます。インボイス制度に対応したバージョンでは、税区分の名称と仕入税額控除の割合(経過措置の80%・70%など)を組み合わせて指定します。使っている製品・バージョンによって名称が異なることがあるため、弥生会計の税区分一覧で正確な名称を確認してください。
取り込みでよくある5つのエラーと対策
1. 勘定科目・補助科目の名前が一致しない
CSVに書いた勘定科目が会計ソフトに登録されていないと、エラーになるか、意図しない科目で取り込まれます。「消耗品費」と「消耗品」、「支払手数料」と「支払報酬」のような表記のゆれにも注意が必要です。取り込む前に、会計ソフトの勘定科目一覧とCSVの科目名を照合しましょう。
2. 税区分の名前が一致しない
税区分の名称は、ソフトごとにまったく異なります。freeeの課対仕入10%をマネーフォワードにそのまま取り込むことはできません。また、各ソフトのアップデートで名称が変わることもあります。
3. 消費税が二重に計上される
税抜経理の会社で、「外注費」と「仮払消費税」を別の行にしたCSVを、税区分付きで取り込むと、会計ソフトが税込金額から消費税を計算したうえに仮払消費税の行も加わり、消費税が二重に計上されることがあります。税区分から消費税を自動計算させる場合は、税込金額を1行にまとめて税区分を付けるのが基本です。
4. 複合仕訳の貸借が一致しない
源泉徴収のある請求書や、税率の異なる品目が混在する請求書は、複数行の仕訳になります。同じ伝票にまとめる行の借方合計と貸方合計が一致していないと、取り込みエラーになります。伝票番号(取引No・識別フラグ)の付け方も確認してください。
5. 文字化けする・日付が読めない
文字コードが会計ソフトの想定と違うと、日本語が文字化けします。各ソフトのテンプレートと同じ文字コードで保存しましょう。Excelで開いて保存し直すと、日付の形式や先頭のゼロが変わってしまうことがあるため、CSVはテキストエディタで確認するのが安全です。
テスト取り込みのすすめ
形式を合わせたつもりでも、初めて取り込むときは、次の手順で確認すると安心です。
- 税率10%の通常の仕入れ、軽減税率8%の仕入れ、経過措置(70%控除)の仕入れ、源泉徴収のある支払い、の4種類を1件ずつ用意する
- その4件だけをCSVにして取り込む
- 取り込んだ仕訳の勘定科目・税区分・消費税額を画面で確認する
- 問題がなければ、残りの仕訳を取り込む
特に経過措置の行は、取り込み後の消費税額が70%分になっているかを必ず確認しましょう。消費税の計算方法については「経過措置70%の計算方法と仕訳例」、源泉徴収の仕訳は「源泉徴収がある請求書の仕訳例」で詳しく解説しています。
Ledgerlyでの出力
Ledgerlyでは、請求書から作成した仕訳を、freee会計・マネーフォワード クラウド会計・弥生会計に取り込むためのCSVとして出力できます。
各ソフトの仕様は変更されることがあるため、初めて取り込む際は、上記の手順で数件のテスト取り込みを行ってください。月200件までは無料でお使いいただけます(料金プラン)。
まとめ
- freeeは
[表題行]・[明細行]と伝票番号、マネーフォワードは27列と取引No、弥生は見出しなしの25列と識別フラグで、仕訳のまとまりを表します。 - 経過措置は、freeeは専用の税区分、マネーフォワードはインボイス列、弥生は税区分と控除割合の組み合わせで指定します。マネーフォワードのインボイス列は空欄だと100%控除になるので要注意です。
- 消費税を自動計算させる場合は、税込金額1行+税区分にまとめると二重計上を防げます。
- 本番の前に、種類の違う仕訳を数件だけテスト取り込みしましょう。
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